Part One: The Journey Begins
Part Two: The Journey Continues


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The Journey Begins
by Paul Reed Smith
 

アナポリスの、お化け屋敷のような屋根裏にあったワーク・ショップから最新鋭の工場までの道のりは楽ではなかった。しかし私達は常に自分の手で作業することに喜びを感じていた。高校生の時からそれは変わることはなく、大学では単位の為にはじめてのギターを製作した。そのギターで「A」の単位を取得し、私の人生の夢を追いかける旅は始まった。

深夜には様々なアイデアが生まれた。1ヶ月に1本ギターが作れればラッキーな方だった。ギターが完成すればすぐにステージで演奏した。-それが一番純粋なギターのテスト方法だから。設計を変更するごとに新たな発見があった。アーティストが演奏するたびにフィードバックを得て何かを学び、次の変更に反映した。10年を超える時を経て、3つのヘッド・ストック、様々なボディ・シェイプ、トレモロのデザイン、様々の木材と工法を繰り返し、最適な組み合わせを探しつづけた。

地元のコンサートにショーの始まる6、7時間前から入り浸って、ローディの友達を作る努力をした事を今でも覚えている。バックステージ・パスを手に、ギタリストと商談して10回に1本くらいは売ることができた。カルロス・サンタナ、アル・ディ・メオラやハワード・リースやその他の有名なギタリストも買ってくれた。発注が決まって保証金をいれてもらっても、ギターが気にいらない場合は次の月の家賃が払えなくても、保証金を返した。

50以上のオーダーを抱え、フォロワーが少し出てきた頃、2つのプロトタイプを製作した。それをトラックの後席に積んで、イーストコーストのギター・ディーラーを回った。数日と数マイルの後、会社を設立するだけのオーダーが集まった。妻のサポートと、優秀なアシスタント、エンジニア、弁護士、営業担当者、アーティスト、そして自らの資産を投げ打ってくれる友達を得て、私達は強力なチームを作ることができた。

工場、従業員、代理店、私達のギターを使用してくれるアーティスト達も順調に増え、私達は長い道のりを辿ってきた。しかしそれは止まることはない。あなたのギターは10年ものテストや新しいアイデアの上に出来上がっている。私達は完全を目指してそれを磨きつづけていくことを辞めることはないだろう。あなたが手を放すことができないギターを作るために職人やエキスパートは力を注ぎつづけている。それがこの旅の始まりのストーリーだ。すべては夢を信じることから始まる。

- Paul Reed Smith - 1992

 

The Journey Continues
by Tom Wheeler
 

ギター・ビジネスにおいて、最高の品質基準を達成したことがPRSの大きな勲章ならば、シェアを増やしながらもそれを続けていることは同じくらい素晴らしい事であるはずだ。PRSの成功の継続は日常的な木材の管理、ツール、工法の見直しの徹底に裏付けられ、それはPaul Reed Smithが屋根裏で手作りしていたころから変わりない。全ては素晴らしい、魔法のようなサウンドをもつギターの製作、という変わらない目標のためにある。

Larry Urie - ナショナル・セールス・アンド・マーケティング・マネージャー : 「工場の拡大や、出荷数の増大のたびに、我々はさらに厳しい品質コントロールを設定し、我々のスタンダードを究極のものにしている。PRSの品質コントロールはこれまでにないものだ。」

他の会社は50年代や60年代の歴史的なギターに物語を植え付け、人々に訴えかけているが、Paul Reed Smithはその本質はギターではなく、そのギターを設計、製作した人々(たとえばTed McCartyのような職人のような)にあることを知っている。職人達はPRや物語を作ることに興味はない。彼等の目的なすばらしい楽器を作ることなのだから。アーティストを触発し、もっとうまくなりたいと思わせるようなサウンド、数々のステージを乗り越える耐久性、美しいアートワークをもつエレガントさを兼ね備えるような。ギタリストが手放せないギターを作れば、PRやその他の事はおのずとついてくる。

Paul Reed Smith : 「余計なことは一切しない。それが我々の伝統だ。もしロボットを使う過程と、手で磨いたり、インレイを施す作業の組み合わせで一番よいギターが作れるなら、それが我々の伝統的なやり方だ。品質が我々の伝統を生み出す。我々のゴールは優秀なギターを作りつづけることだ。それを見失うことはない。

Larry Urieはこう加える : 「PRSでは自動化した作業と、職人による作業が混在する。自動化による恩恵が得られる部分では機械などが活躍し、職人の目とスキルが必要な細かい部分では職人が活躍する。工場を見学した人々は機械よりもその手作業の多さに驚く。人間の要素がすべてを支配しており、高いスキルをもった職人の決定によってギターは生まれてくる。」

言い換えれば、この機械の時代でも、PRSの魔法は人間の手によって生み出されているということだ。

家族や友達やビジネスをのぞけば、Paul Reed Smithの人生にとって重要なものは彼の音楽だ。彼は作曲、演奏、録音、パフォーマンスをする。ここでそれを述べるのは、彼の音楽やサウンドに対する熱意はトップ・ダウンで工場や職人達に届いているからだ。彼によるとPRSの従業員の8割はミュージシャンで、その多くは日常的にバンドで演奏している。PRSの社長であるJack Higginbothamは「ビルダーは自分の製作している楽器は自分のものであるかのように、特別なプライドをもって作っている。とても個人的な感情をもって作っているんだ。」

この品質への熱意は個々の職人だけでなく、会社全体へも影響している。Paul Reed Smith : 「我々は他の会社のように組織されていない。PRSの職人は一人一人が品質コントロールの1事業部のようなものだ。彼等には自身の作業において数多くの権限が与えられており、すべてのチェックがすむことなく、次の作業へ手渡すようなことはない。そしてその決定は彼等自身に任されている。それは昔ヨーロッパにあったショップを思い起こさせるものだ。フロアでは常に「これで最高か?」といった会話が聞こえてくる。これは我々が強制したものではなく、作業の中に自然に溶け込んでいるもので、設計段階や木材の選定からはじまり、製作やテストまで全ての工程において行われている。」

Peter Wolf - インターナショナル・セールス・アンド・マーケティング・マネージャー : 「品質コントロールへのパッションは私達のPrivate Stockが他の会社のカスタム・ショップとは存在そのものが違うことにも現れている。PRSそのものがカスタム・ショップのようなものなのだから。」

私はPaul Reed Smithと15年以上にもわたって話して来ているが、彼は会話のほとんどを「なんだと思う?」といった始め方をする。そして延々と彼の新しいサウンドの発見を続けるのだ。PRSのもっとも新しい進化はいつも、違う木材の使用による小さなサウンドの違いといったものだ。そう、Paul Reed Smithはほとんどの人には気づかないサウンドの違いを聞き分けることができる。しかしもっと凄いことはそのほとんどの人が気付かない違いを、あなたが聞いたり感じたりできるレベルにまで引き上げるエンジニアや協力者がPaul Reed Smithにはいることなのだ。

私の息子のJoeは空手の黒帯をもっている。私は黒帯とは空手のゴールだと思っていたが、彼はそれは新たな始まりだと言う。これに似た感覚をPRSに私は感じる。アーティストや編集者がその職人とギターの素晴らしさを毎年のように語っていても、職人達は自分自身達がまだその発見の旅の途中にいると感じている。「まだまだだ」とPaulは言う。「それは続いていくもので、我々が終わらせることはできない。それは永遠の挑戦で、それが私達が工場へ毎日通う理由だ。」

彼がギターを作り始めた頃にさかのぼると、Paul Reed Smithは50年代や60年代のギター製作の伝統的な手法を吸収していった。そして今日も彼は新しい伝統を彼自身の会社から吸収している。今でも彼はよく昔のPRSのことを思い出すが、懐かむような趣ではない。前を向くために過去を思い出しているのだ。PRSでは昨日は明日に直結している。Paul Reed Smithは「とんでもない才能をもったチームを持つことができてラッキーだと感じている。職人やアーティストだけではなく営業、マーケティングやその他の人達。そして同じ思いをもって働いてくれる全ての人々。私達は演奏してくれる人たちに知って欲しい、古いPRSのギターがどんなにすばらしくても、新しいPRSのギターはそれよりも素晴らしいもので、そうあるように努力しつづけていることを。」

- Tom WheelerはGuitar Playerの元編集長で、「The Guitar Book」と「American Guitars」の著者。